moratorium

うってつけの日々

塵とハミング

誰と会う約束もしていない日々が続いている。

一人で過ごすことに、何の抵抗も違和感もなく、それを完全に自然のこととして生きていたころが、遠い夢物語のように感じてしまう、春。私の好きなことは、基本的に一人で完結できることで、むしろ人とともになさねばならないことは、何もかも不得意である。最たるものはスポーツ。本を読むこと、夢想すること、お茶をすること、歌って、踊って、うたた寝をして。何もかもが一人でなければならないこと、これが私の好きなこと。なのに、どうしてだろう、人といなければ何か問題があるような満たされない人間のように見られてしまう、という強迫観念にかられだしたのはいつからだっただろう。これはとても不幸なことです。

自分で成り立つことができないのに、人といて充足を感じる。それは欺瞞でしかない。足りないものを他人で埋めても、結局欠落感は強くなって、より満たされない思いは強くなる。自分でさえこんなに重くて持て余しているのに、他人を抱え込むなんてそんなこと、できやしない。他人に私を抱えてもらって満たしてもらうことを期待しているなんて、私はぞっとしてしまった。

私は強くなりたいのです。せめて人生に期待できるくらいには。期待を裏切られたからって拗ねてそっぽを向くのではなくて、それすらも飲み込んで、次に期待と、笑えるようになりたい。

 

今日、ユーミンを聞いていたら、幼いころを思い出した。母はよく、ユーミンを流しながら掃除をしていた。ハミングをしながら、2階にまで聞こえるように大音量で。あの日の陽の明るさと、空気の暖かさを思い出した。舞い上がった塵が、陽の光を受けてキラキラとして、綺麗だった。