moratorium

うってつけの日々

震えた文字が意味した感情

滔々と流れる日々はとどめようもなく。
とどめるつもりもないのだけれどね。

日記を読んだ。
世界が死んだ日の日記を。
あの頃震える手でようやく綴った文字。
潰れて息もままならなかった胸。
どうしようもなく零れた涙あと。
そういうものを懐かしく眺められた自分に
私は心底安堵し、嫌悪した。

死ぬことは多分、つらいことではない。
終わるだけで。その後がないから。
でも、生の中にはこんなにもつらいことがあるのかと。
こんな苦しみと絶望ですべてが塞がれ、
身体を動かすことも儘ならないほどの痛みの中で、それでも生きていくのかと。
なるほど、本当に天国も地獄もここにあるのだと思ったあの日。

一生この痛みを覚えていようと思った。

なのに、ね。

忘れることができるということに、
多分ものすごく救われると同時に、
私はとても愚鈍になった。