moratorium

うってつけの日々

空に落ちたい、みたいな願望

新しい年がまたまた当然のようにやってきて。はてさて今年はどんな風になるのだろうかと、怖さと期待のせめぎあいのような感じがしている。

年末年始はいつも新鮮で、いつも新しい。そして、いつも同じルーティーン。空気が元旦に向けてどんどん澄んでいく感じがして、私もどんどん気持ちが無になる。そんなことをもう幾度繰り返しただろう、繰り返すのだろう。

 

年末、実家に帰り、田舎道を散歩した。あそこは本当に何もなくて、ただただ広い空、何も植わっていない田んぼ、そして老人など。一人でそういうものをずっと見て感じて過ごして、私はとても満ち満ちた。
空を見上げれば、どこまでも高く、淡い青はまるで宇宙まで見通せるのではないかと思うくらいの奥行で、立って見上げている足元がおぼつかなくなる。そのまま空に吸い込まれるような、宇宙の中に落ちていくような、そんな錯覚。高い建物など何もないから、空はみんな私のもの。どこまでも、青。
田んぼは何にも植わっていなくて。私は直近、いつ、あの金の稲穂を見ただろうかと。あの青々としたまるで絨毯のような苗を見ただろうかと。そんなことを考えた。
しんとした気持ちで。

分裂できないのはなんて不便なんだろう。さくりと真ん中で割ってもらって、そのまま、私のまんまで、分裂できたらいいのに。愛とエゴを押し付け合って、どうしたって一人じゃ足りない、回らない。別の場所に同時に存在できない。したいのに。
人間の常識ではかなわない願いばかり大きくなる。膨らんで膨らんで、しかし割れる気配もない。どこまでも膨らんで、いつか私ごと、吹き飛ばしちゃえばいいのに、なんて。