moratorium

うってつけの日々

つるかめ

身内に不幸があった。

その人は、とても身体が大きく控えめに言っても太っていた。いつもニコニコとしていて、とても声が大きかった。不良のような風体と恰好をしていて、親戚でなかったらたぶんとても怖かったと思う。お金持ちの御曹司で、でもまったく彼の様子からそれを伺い知ることはできなかったと思う。

たまに、メールが来るようになったのはいつからだろう。高校生のとき、大学生かしら?多分、とても寂しかったのではないかと思う。縁遠い、親戚の若い女の子にたまにメールを送らずにはいられなかった、その寂寥を思うと、私はたまらなくなる。

私はほとんどそれに返事をしなかった。困った人だと、思った。

彼には、妻がいた。異国から嫁いできた人だった。彼は晩婚だったが、その妻は若かった。彼らの馴れ初めは知らない。しかし、その妻は異常なほど姑と仲が良かった。夫婦でいるところをほとんど見なかった。いつも妻は姑といた。彼らに子はなかった。

もうあの、がらがらとした特徴的な声を聞くことはないんだな。もう、メールが送られてくることもないんだな。最後にあったのは、声を聞いたのは、一体いつだったんだろう。最後はいつ訪れるんだろう。