雪待ち
人となりも、姿も、何も知らないおじいさんのお話。
今日の朝、そこには雪が降ったらしい。うっすら2㎝ほど積もっている。
風が強く、冷たい。
今日の午後、すっかり晴れて雪は解けていったという。
もうすぐきっと東京に雪をもたらすだろう、そう言った。
残念ながら、東京では雪を感じられなかった。不思議なことに私は雪を心待ちにしていた。おじいさんと世界を共有してみたかった。実在しているかもわからないおじいさん。
来週市場に行くので、私にお芋を買ってきてくれるらしい。
会うすべも何もかもない私のために。
それを待つのはとても温かで豊かなような気がしている。
そんな気分。